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妊娠初期(ファースト・トリメスター):知っておくべきことと、健康に過ごすための完全ガイド

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新しい命を迎える喜びと不安


妊娠検査薬で陽性のサインを見た瞬間、それは長年の願いが叶った喜びかもしれませんし、予期せぬ驚きかもしれません。しかし、その感動の裏側には、「これから何をすればいいの?」「何に気をつけたらいいの?」という漠然とした不安と、数えきれないほどの疑問が押し寄せてくるでしょう。

このガイドでは、産婦人科専門医であるDr. Lora Shahine, MDが、妊娠初期(ファースト・トリメスター)を健康に、そして安心して過ごすために役立つ核心情報を共有します。妊娠初期の14週間で起こる体の変化、一般的な症状、そして妊婦さんが最も多く抱える5つの質問への回答をまとめました。


1. 妊娠初期(ファースト・トリメスター)とは?驚異的な変化の期間

妊娠初期とは、妊娠開始から13週6日(約14週間)までの期間を指します。通常、妊娠検査薬で陽性が確認できる頃には、すでに約4週目に入っています(これは最終月経開始日を基準に計算するためです)。

この時期は、妊娠期間の中でも最も劇的で、生命の神秘を感じさせる変化が起こります。


胎児の驚異的な成長

•胚(はい)から胎児へ: 受精後、わずか100個ほどの細胞からなる胚盤胞(ブラストシスト)が子宮に着床し、心臓の拍動、脳、脊髄、消化器官などが形成される完全な胎児(フェータス)へと急速に発達します。


•サイズの変化: 妊娠初期の終わり頃には、約8.5cm(3.5インチ)、キウイフルーツほどの大きさにまで成長します。

妊婦さんの体の変化

赤ちゃんが成長するのと同じくらい、お母さんの体も大きく変化します。


•循環器系の変化: 心臓が送り出す血液量(心拍出量)が増加します。


•腎機能の変化: 腎臓の働きが活発になるなど、全身にわたる変化が起こります。


2. 妊娠初期によくある7つの症状:正常なサインと注意点

妊娠初期に経験する様々な症状は、胎児の発達を支えるための正常な身体変化の結果です。


症状

特徴と対処法

1. 極度の疲労感(Fatigue)

ほぼ全ての妊婦さんが経験する症状です。心臓がより懸命に働き、全身がマラソンを走っているような状態です。十分な休息と昼寝が非常に重要です。

2. 匂いや食べ物の嗜好の変化

特定の匂いが不快に感じられたり、大好きだった食べ物を突然嫌いになったりすることがあります。全ての人に現れるわけではありません。

3. 吐き気および嘔吐(つわり)

妊婦さんの50〜80%が経験します。「朝のつわり(Morning Sickness)」と呼ばれますが、一日中いつでも発生します。

対処法: 少量ずつ頻繁に、そしてあっさりした食べ物を中心に摂取しましょう。生姜や指圧バンドも役立つことがあります。


注意点: 食べ物や水分を全く摂取できないほど重症な場合は、脱水や栄養失調の恐れがあるため、必ず医師に相談してください。


4. 乳房の張り・痛み(Breast Tenderness)

ホルモンの変化と体液の移動により、乳房が硬く、腫れて、痛むのは一般的です。

5. 頻繁な排尿

腎臓の働きが活発になり、体液の移動が増えるため、夜間でもトイレが近くなることがあります。

6. 胸焼け(Heartburn)

プロゲステロンというホルモンが食道と胃の機能を緩め、胃酸の逆流を引き起こすことで発生します。症状の緩和については医師に相談しましょう。

7. 便秘(Constipation)

プロゲステロンが腸の動きを遅くします。十分な水分補給、食物繊維の摂取、そしてウォーキングのような軽い運動が大切です。

3. 妊娠初期の妊婦さんが最も多く抱える5つの質問


Q1. 体重増加は必須ですか?

A: いいえ、必須ではありません。

妊娠期間全体を通しては、15〜30ポンド(約7〜14kg)程度の体重増加が推奨されますが、妊娠初期に体重が増えない、あるいは3〜5ポンド(約1.3〜2.2kg)程度の増加に留まるのはよくあることです。健康な妊娠のために、妊娠初期に無理に体重を増やす必要はありません。

Q2. けいれん(Cramping)は正常ですか?

A: はい、正常な場合があります。

子宮が大きくなることや、プロゲステロンが靭帯を緩めることにより、けいれんは頻繁に起こります。しかし、過去に流産経験がある方や、不安を感じる場合は、医師に相談して安心を得ることをお勧めします。


Q3. 出血や少量の出血(Spotting/Bleeding)があっても大丈夫ですか?

A: 必ずしも流産を意味するわけではありません。

正常な妊婦さんの約30%が、妊娠初期に出血や少量の出血を経験します。これは、胎盤が子宮壁に着床する過程や、血管が豊富な子宮が変化する過程で、少量の出血が起こることがあるためです。

ただし、 出血と共に激しいけいれんがある場合や、特に片側のお腹に痛みを伴う場合は、子宮外妊娠などの問題の可能性があるため、直ちに医師の診察を受けてください。


Q4. 避けるべき食べ物はありますか?

A: はい、食中毒のリスクが高い食品は避けるべきです。

妊娠中は免疫システムが抑制されるため、食中毒にかかりやすくなります。細菌の含有量が高い可能性がある食品は避けてください。


•加熱していない食品: 生肉、生魚(特に寿司)。


•非殺菌の乳製品: 非殺菌牛乳、未加工チーズなど(リステリア菌、サルモネラ菌のリスク)。


•加工肉: デリミート(ハム、ソーセージなど)。ホットドッグは完全に加熱して摂取する必要があります。


•水銀含有量の高い魚の制限: 赤ちゃんの脳の発達に影響を与える可能性のある水銀含有量の高い大きな魚(マグロ、カジキ、サメなど)は避け、サケ、イワシ、カタクチイワシなど安全な魚を週に2〜3回(8〜12オンス)摂取することが推奨されます(オメガ-3は胎児の脳の発達に良い影響を与えます)。


•カフェインの制限: 一般的な推奨事項として、1日200〜250mg未満に制限します(普通のコーヒー1杯程度は問題ない場合があります)。


Q5. 運動はしても大丈夫ですか?

A: はい、運動は精神的、身体的な健康のために重要です。

ただし、あまりにも激しい運動や、新しく高強度のルーティンを始めるのは避けるべきです。

•避けるべき運動: 脱水を引き起こす激しい運動(ホットヨガなど)、転倒や衝撃のリスクが大きい運動(ダウンヒルスキー、水上スキーなど)。


•推奨される運動: 長時間の散歩、妊婦向けヨガ、筋力トレーニング、低強度の室内自転車(Pelotonなど)、軽いジョギングなど、体を動かすことが大切です。


個々の状況に合わせて、必ず主治医と相談してください。


Dr. Shahineからの妊娠初期を健康に過ごすためのトップヒント


1. 休息(Rest)

体の声に耳を傾け、十分に昼寝をして休みましょう。

2. 水分補給(Hydrate)

こまめに水を飲み、脱水を予防しましょう。

3. 葉酸(Folic Acid)を含むマルチビタミンの服用

妊娠前から服用することが理想的ですが、特に妊娠初期は神経管欠損(Neural Tube Defects)のリスクを減らすために不可欠です。つわりがひどい場合は、鉄分が抜かれた葉酸のみの服用も検討できます。

4. 絶対にやめるべきこと

•喫煙・受動喫煙: 直ちに中止する必要があります。

•アルコール(飲酒): 安全な量は存在しないため、完全に中止する必要があります。胎児アルコール症候群を引き起こします。


この大切な時期を賢明に過ごし、疑問点があれば必ず主治医と相談してくださいね!



Dr. Lora Shahine, MD の動画はこちら:https://youtu.be/-LHNfkaaMFA

Lora Shahine, MD, FACOG

Pacific NW Fertility, Seattle, WA



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