FSH検査とAMH検査:不妊治療と卵子提供における重要な指標
- NOVASEED

- 8月25日
- 読了時間: 3分

不妊治療(体外受精, IVF)や卵子提供プログラムを始める際に、必ず行われる基本的な検査があります。 それが FSH検査 と AMH検査 です。
これらの血液検査は、女性の卵巣機能や卵子の予備力を客観的に示し、妊娠の可能性や治療方法を決めるうえで重要な指標となります。
FSH検査(卵胞刺激ホルモンと不妊治療の関係)
検査時期: 通常は生理2〜3日目に採血します。
役割: 脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)は、卵胞を刺激し卵子を成熟させます。
数値の目安(単位:mIU/mL)
<9 → 正常範囲、卵巣機能は良好
9〜12 → 境界域、卵巣機能低下の可能性
>12 → 卵巣予備能の低下、IVFの反応が弱まる可能性
>20 → 卵巣機能がかなり低下
👉 FSHは「低いほど良い」 検査です。数値が高いということは、卵巣が卵子を成熟させるためにより強い刺激を必要としている(=反応が鈍くなっている)ことを意味します。
AMH検査(抗ミュラー管ホルモンと卵子の在庫)
検査時期: 生理周期に関係なく、いつでも採血可能です。
役割: 卵巣内の小さな卵胞から分泌されるAMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の数を直接的に反映します。
数値の目安(単位:ng/mL)
3.0以上 → 卵子数は十分(ただし5以上は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性あり)
※多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):小さな卵胞がたくさんでき、排卵が起こりにくくなる体質の一つ。
1.5〜2.9 → 正常範囲
1.0〜1.4 → 境界域、卵子数が減少傾向
0.5〜0.9 → 低値、卵巣予備能の低下
0.5未満 → 卵巣機能の著しい低下
👉 AMHは「高いほど良い」 検査です。卵子の在庫が多いことを示します。ただし、極端に高い場合はPCOSなど別の診断が必要になることがあります。
FSHとAMHの関係性
この2つの検査は、それぞれ違う側面から卵巣の状態を示します。
FSH → 卵巣の「現在の反応性」を示す(アクセルの踏み具合)
AMH → 卵巣に残っている「卵子のストック量」を示す(ガソリンの残量)
これらを組み合わせて解釈することで、より正確に卵巣機能を評価できます。
FSH低値+AMH正常 → 卵巣機能良好で、妊娠の可能性も高い状態
FSH高値+AMH低値 → 卵巣機能が低下しており、不妊治療への反応が弱い可能性
FSH正常+AMH低値 → 年齢が若くても、卵子の在庫が少ない可能性
不妊治療と卵子提供での実際の基準
体外受精(IVF)では、 一般的に FSH<10、AMH>1.0 であれば治療可能と判断されることが多いです。AMHが0.5を下回ると、採卵が非常に難しくなったり、採れる卵子の数が限られたりします。
卵子提供プログラムでは、 卵子ドナーに対して AMH 2.0以上、FSH 10以下 を基準とする場合が多く、より良好な卵巣機能が求められます。
まとめ
FSH検査: 低いほど良い(12以上は機能低下のサイン)
AMH検査: 高いほど良い(1.5以上が正常範囲の目安)
FSHとAMHの数値は、単なる数字ではなく「卵巣機能」と「卵子の将来性」を映す重要な指標です。 NOVASEEDではこれらの検査結果に基づき、不妊に悩むご夫婦や卵子ドナーの方へ、安心で個別に合わせたプログラムを提供しています。
参考文献
日本産科婦人科学会(JSOG)『生殖補助医療ガイドライン』
American Society for Reproductive Medicine (ASRM) Practice Committee, Testing and interpreting measures of ovarian reserve (Fertility and Sterility, 2020)
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