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OD-NET(Oocyte Donation Network)とは?


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日本における卵子提供登録支援団体の役割と課題


1. OD-NETの概要

OD-NET(Oocyte Donation Network)は、2013年に設立された日本初の卵子提供登録支援団体です。 名称は「Oocyte(卵子)」「Donation(提供)」「Network(ネットワーク)」の頭文字をとったもので、日本語に直訳すると「卵子提供登録支援団体」という意味になります。

この団体は、卵巣機能の低下や早発閉経などにより、自分の卵子での妊娠が難しい女性を対象に、卵子提供ドナーを募集・登録し、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)に指定された医療機関と連携して体外受精(IVF)治療をサポートすることを目的としています。


2. 設立の背景と目的

OD-NETは、法制度が未整備な日本において「非配偶者間の卵子提供」を実現するために設立されました。従来、日本では卵子提供といえば親族や友人など限られた範囲で行われるケースが多く、第三者からの提供は極めて限定的でした。

そこでOD-NETは以下の役割を担っています:

  • 卵子提供希望者(ドナー)の募集と登録

  • レシピエント(卵子を必要とする女性)との匿名マッチング

  • 医療機関・倫理委員会との調整

  • 提供における心理的・倫理的サポート


3. 組織体制

OD-NETは患者家族の有志を中心に、以下の専門家の協力を得て運営されています。

  • 不妊治療専門医

  • 小児科医

  • 法律家

  • 心理カウンセラー

多職種の専門家が関与することで、医療・心理・法的な側面から総合的なサポート体制を整えています。


4. 活動実績と課題

公式データによると、OD-NETを通じて実際に卵子提供から出産に至ったケースは極めて限られています。過去10年間で16件の出産、さらに数件の妊娠例が報告されています。

登録者に対する実際の提供率は約5%前後とされ、提供に至るまでのハードルは高いのが現状です。主な課題としては:

  • 倫理委員会による厳しい審査

  • ドナー本人の心理的負担

  • 社会的・制度的な制約

これらの要因により、登録はあっても実際に卵子提供まで進むのはごく一部にとどまっています。


5. 成績(成功率)

OD-NET公式サイトによれば、**患者1人あたりの臨床妊娠率は85.7%**と公表されています。これは国際的に見ても高い水準であり、実際に治療に進んだケースでは一定の成果を挙げているといえます。

ただし、この数値は「登録者全体」ではなく、「実際に提供・移植に進んだケース」を対象に算出されたものである点に注意が必要です。


6. 社会的意義と今後の展望

OD-NETは、日本における制度的に未整備な「第三者からの卵子提供」に道を開いた先駆的な存在です。

  • 社会的選択肢の拡大

  • 倫理的議論の促進

  • 制度化への布石

一方で、依然として件数は限られており、制度的枠組みや社会的理解の不足といった課題を抱えています。


まとめ

OD-NET(Oocyte Donation Network)は、日本で初めて卵子提供を登録制で支援する団体として設立されました。 登録者数に比べて提供件数は少なく、制度的な制約もありますが、公式に公表された臨床妊娠率は85.7%と高水準を示しており、卵子提供を検討する夫婦にとって信頼できる選択肢の一つといえるでしょう。


※本記事のデータや統計は、報道機関で報じられた情報に基づいています。

 
 
 

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